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「武生 ちちりちちり たりたんな」 この国はどこへ向かってゆくのか

 最近店主日記を書かずに怠けているというご批判を数人の読者の方からいただいた。それではということで、デザイナーの杉本さんに催促されていた年賀状のための文章を掲載することにしました。初春に配達されるものなのに、あまりにも希望がないので、杉本さんに却下されるかもしれないので、あえてこのコーナーに掲載します。

 武生 ちちりちちり たりたんな

 この国の美しい海と村々が
 そして人々が みるみる壊れてゆく
 核分裂が生み出す「金と権力」に群がり
 この列島の千年の文明が
 慈しんだ神々と共に壊れてゆくんだ

 たけふ ちちりちちり たりたんな
 さ きんだちや  さ きんだちや!

 自分の書いた文章を解説するというのは野暮の極みですが、最初の一行と最後尾の二行は源氏物語文中の引用で口ずさみ、囃子詞のようなものです。千年余り前に「たけふ」と囃子詞の冒頭に歌われることの意味合いは、華やかな京の都と鄙(ひな)である地方の国府、武生との比較対象であり、紫式部の越前における歌の中にも、田舎を意味する鄙ヶ岳(日野山)が歌われていたような記憶があります。
 又、「さ きんだちや!」とは元々は身分の高い方々を指しますが、当時庶民にも歌われていた「催馬楽」の中では浅水あたりの遊女が、通ってくる武生の国府の役人に「さ あんちゃん どや!」と呼びかけている意味合いがあると思われます。

 不確かな博識を披露してしまって、少し嫌悪感がありますが、この年の瀬、被爆し続ける福島の子供たちを避難させようともしない腐りきった政治屋たちの集合離散と、太鼓持ちメディアの無能ぶりを毎日眺めている事にはとても辛いものがある。「この国は何処へ行ってしまうのだろう」と人ごとのように語って、この項終わり。