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「春駒」と山本源太夫

 6月22日夜、元料亭「春駒」にて伊勢大神楽の山本源太夫親方を三重県桑名からお迎えして貴重なお話を伺うことができた。

 折しも当日午後、越前市本町の浄土宗大寳寺(だいほうじ)では墓前で神楽総舞が奉納された。というのも図らずも百年前、先代の親方が旅先のこの武生の地でお倒れになり、街の人たちと当時の大寳寺のご住職に手厚く葬られた経緯がある。その縁で毎年この墓前で神楽奉納舞が行われている。

 この武生の旧市街はやたら使いにくい駐車場ばかりが増殖し、様々な要因で街が壊れつつある。そんな折に、百年を越えて歩み来た神楽の道すがらを親方から語っていただく事は、この街に住む人々のアイデンティティのようなものについて模索している武生古代史研究会としてはまさにその実現を希望していたことであった。

 また今回この講演会をお願いしたメンバーの半数は神楽を知らなかったり、あえて門戸を閉していた者もいたりでしたが、不思議な成り行きからあっという間に「春駒」が準備された。そして、この街に住んでいて、悪いことばかりでもなかったという思いをどこかで皆さんと共有できたらと考えている。

 神楽が訪れた昔の武生周辺の風情を「マレビト」源太夫親方がどのように感じておられたのか、そして、当時の街の人々とどんなふうに係わられていたのか。参加者それぞれがお聞きしたいことが沢山有り話も弾み、古い貴重な資料なども見せていただいた。また最後には親方の渋い横笛を聞かせていただき、有意義な時を持つことができた。

この宵「春駒」の細い路地に街の旦那衆が三々五々集まり、武生の建築と工芸の粋を集めた空間において、笛を聞き花を愛でる。酒膳は準備できなかったけれども、かつて美しかった人たちもちらほらおいでになり、私には往年の名料亭「春駒」の大広間が時を越えてよみがえったような気がした。

武生古代史研究会 栗波和夫

神楽の獅子に頭を噛んでもらう

雨のため休日になった伊勢大神楽の友人たちと
今立の役場を右に曲がり深い峠を超える
どんつきは池田町稲荷
雨の中の「須波阿須疑神社」(すわあずきじんじゃ)
御神体は神楽面
鳥居元のバザールには
仏壇販売展示トラック
鯉売りの青い水槽
閉ざされ
朽ちてゆく梅田氏庭園
足羽川ダムと失われる故郷

美山
誰もいない萌叡塾
白色紀州犬「玄」に迎えられる
め組の半纏 谷崎さん!
地ビールと放し飼い地鶏の卵
水魚(みずべこ)の干物
草を食む小さき馬
と、その逃走
どこから来たのか伊自良一族(いじらいちぞく)
みんな樺八幡宮に引き寄せられているんだ

手に入れた「ぴるすなーびーる」をすぐにでも飲みたい
が 栓抜きがない
瓶のガラス片と浦島さんの指の血
なだらかな草の起伏を散歩する紀州犬「玄」と少年
バンドエイドをもらう

美山の峠の遥か下方
雲の隙間に遠く
小さな城下町が浮いていた
思わず「天空の城」と同時に口走る

雨上がりの大野の街に虹がかかる
念願の「星山ミート」
「優勝ホルモン」は限定十食
うまかった石焼ビビンバ
パリパリおこげと生るーび
「だから言ったじゃない
私が運転すると」

ひなか遊び呆けて
留守番の吉崎くんに怒られる

帰路は大味から戸ノ口坂
雨の夜でもあるし
おっかない あの隧道を越えてみようか