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満月の夜、武生にボスポラス海峡の風を聞いた

ボスボラ海峡 衛星写真

 9月22日のゴドーでは増田真吾 カヌーン(アラビア琴)阿部綾子 ネイ(葦の斜め笛)近藤大貴 ダラブッカ(陶器の太鼓)。三人による「トルコ音楽と中東音楽の話」と名付けられたコンサートが開かれた。増田氏はエジプトで阿部さんはトルコとギリシャで近藤氏はトルコでそれぞれの楽器と師に出会い、学ぶ機会を得たという。三人ともいくつかの表現の手段を経て現在の楽器に行きついている。

 見知らぬ国の楽器と音楽なのでお客さんを集めるのに苦労するだろうなと思いながらも「新しもん好き」の悪い癖が出て彼らのコンサートを引き受けてしまった。告知のための時間があまりなかったが、お願いした人はほとんど皆さん御来店いただいた。それもトルコ音楽に興味を持たれてこられていたのが印象的だった。おかげでキャパが30人ぐらいの空間に40人ぐらい入られた。スタッフや演奏者を入れれば50人近くの人が出入りし、狭くて椅子もなくお帰りになられた方達もいて申し訳なかった。

 演奏の間には風変わりな楽器の説明や、中東音楽に出会ったそれぞれの物語を解説していただき、この企画に参加された皆さんが身を乗り出して聞きいっておられた。特に子供たちが興味深そうで主催者としてはとてもうれしかった。その夜は特別ゲストで武生在住、カザフスタンの弦楽器奏者イナーラさんとご主人の高橋直己さんの口琴が合流されコンサートはさらに深みを増し、時を忘れた。演奏がすべて終わっても観客が音楽の余韻の中にあり、誰もお帰りにならないので営業が深夜までになってしまった。うれしい悲鳴である。

 話は変わるが、原発が廃墟のように美しい海を侵食している若狭湾は古代大陸からの渡来文明の受け皿であった。この湾の真ん中にある小浜市では昨年来、古刹を舞台にシルクロード音楽祭が開催されている。国の重要文化財でもある中嶌哲演さんのところの明通寺や羽賀寺といった最高のシチュエイションの中での音楽祭であり、今回ゴドーで構成された「トルコ中東音楽ユニット」とカザフスタンのイナーラさんたちがこの音楽祭参加することができれば音楽的にはより豊かな方向性を秘めることと思われる。

 今回のユニットの皆さん、この満月の夜にイタンブールのバザールの風のにおいを武生ゴドーに届けてくれてありがとう。また、急な呼びかけにもかかわらず狭いスペースいっぱいにご来場いただいた皆さん、深く深く感謝いたします。

ブックカフェゴドー店主  栗波和夫