月別アーカイブ: 2016年4月

ブックカフェゴドー イベントのお知らせ

「私たちは何処から来たのか」

4月21日(木曜日)
ゴドーにて、19時〜21時まで
会費、ワンドリンクで1000円です
会場準備のため予約をお願いします。
 090 9760 0556(栗波)
 0778 42 6711 (ゴドー)

第一部
縄文学の仁科章さん
福井県は古くから東西文化の交差するところである。最近の考古学や民俗学、人類学や言語学、遺伝学といった広い視野から講演をお願いしています。

第二部
ゴドー店主である栗波の最近の表現の紹介を、
詩朗読 上坂琴恵さん
音楽  丸岡 徹さん
にお願いしています。

美しい手紙

美しい手紙灯り

週末に大き目の封書が届いた。

フリーハンド、薄い色彩で波状の手書きの文様のある白地の封書である。切手は桐鳳凰図屏風(狩野探幽)の金色の背景に緑の鳥。近年、かくも丁寧な便りを受け取ったことがなかったので少し感動した。送り主は鋳物師在住、私よりは年長の現代美術家氏である。

先日、お会いした際、私が若い時に友人達と越前海岸の鮎川での無謀な大イベントを開いたときの記録が氏の手元にあるとのこと。いつかそれを見せてください、とお願いしたことによる。私の気まぐれな要望を忘れることなく果たしていただいたわけである。

年を重ねても私は何事もやりっぱなし。あちこち多大な迷惑をかけながら自滅してゆくのがおちで、誰かがその顛末の良質な部分を記録に残してくださっているとは思いもよらなかった。それは昭和59年8月21日の福井新聞の切り抜きや、当時私が書いた「神々との競演」と命名したイベントの案内などである。

越前燎火コンサート アジアに向かって歌え!

夏も終わりに近い越前海岸・鮎川の海辺でイベントを企画しています。古代この地・越の国には厳冬の北西の風にのって、あるいは、対馬海流に進路を預けて、アジアからの文明が流れ着き、特異な文化を育てました。これらの交流は、勿論危険を伴うものでしたし、またそれだけ感動的であったでしょう。

私たちはこの地に住み、ほとんど何も意味しない言葉の洪水や、空虚な音の連続にすっかりうんざりしています。「誰か、本当の歌をうたってくれ!この日本海に向かって、はるか大陸の、なつかしい水辺に向かって、誰か、本当の歌をうたってくれ」ジャンルにとらわれることなく、腹の底から表現したいという心ある人々と、火を焚き、熱い時を共有するつもりです。みなさん、是非、いちばんいい状態で来てください。

1984年8月25日土曜日午後6時から早朝まで

出演、紅龍とひまわりシスターズ、麿赤児と大駱艦、新井英一、コクシネル、八つ杉太鼓、サクスホーンの坂田明とBきよしのドラム、県内の若い人達のバンド

(送付されてきた資料の一部)

あえてこれらのことを公開したのは私の思いが長い時を経て、良くも悪くも全く進化していないということ。また当時の感動と確執の混在した私たちの企画を誰かが確かに受け止めてくださっていた、という感動を伝えたかったからである。

後日、ご近所のピアノの先生の引っ越しの手伝いにうかがったところ、玄関の片隅に越前和紙の張られた照明器具が置かれていた。それがやんちゃな猫のせいで和紙がところどころ破れ、悲惨な状態であった。

作風に見覚えがあったのでひょっとしたら氏の作品でないですかというとそうだというのである。初期の作品で、絵描きの叔父さんが友人である氏から頂いたものであるが、よかったらくださるというので家に持ち帰った。

裏庭の水辺で和紙をはがし、葦と針金の桟を洗い、乾いた春の風をあて部屋に入れた。するとそこに氏が、畑で育てた大根を3本抱えて現れたのである。日野川堤防にはもう桜が咲くというのに。雪に埋もれた冬越しの大根は自らの力で甘くなり、みずみずしい。おろしにし、葱を刻んでごはんに添えたら子供のころ食べていた地元の大根のなつかしい味がしてとてもおいしかった。

随分前の苦しかった海辺の大イベントと美しい手紙、冬越しの大根と越前和紙と日野川の葦を素材にした現代美術。この町をあきらめなくてほんとうによかった。

ブックカフェゴドー店主 栗波和夫